ECCOさんのカスタマイズ・ミッドソール『QUANT-U』

2019.03.09

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フィギュアスケート

こんにちは!小塚崇彦です。

今日は、インスタで前フリをしていたECCO(エコー)さんの話です!

小塚は今、スケート靴(ブーツ部分)の開発を始めています。
良いものが出来そうな手応えを感じているんですが、ECCOさんで体験した新技術がとても良くて、「これはスケート靴に組み込めるかもしれないな」と色々聞いてしまいました。

その技術は、3Dプリンターを活用した靴のカスタマイズサービス『QUANT-U(クアントゥー)カスタマイゼーション・プロジェクト』。
個人個人の足に合ったミッドソール(インソールのさらに下に入ってるもの)をカスタマイズで作れるんです。
形状は勿論、硬さも変えられます。
例えば、立ち仕事をしている人は柔らかい方がいい、よく歩く人はもうちょっと硬めの方がいい、などその人の行動や体型に合わせられます。
ベッドのマットレスに低反発・高反発があるようなものですね。

計測もあっという間で、立って30秒、歩いて30秒。
店内の3Dプリンターでミッドソールを成形するのに50分ぐらい。
全部で1時間くらいで手軽に自分の足に合った靴ができるんですよ。

ちなみに小塚は、歩く計測で完全に『外側重心』と出ました。
というのもスケートは外に滑っていくから、常に外へ外へと力が入っていてO脚気味なんですよね。
スケーターには多いタイプだと思います。

今後、この技術を全国のECCOさんで展開されていくそうです。
そうなればスケーターに来てもらって計測して、データを送ってもらって個人個人に合わせたスケート靴を作れそうだなー、と理想が広がりました!
まだまだデータの互換性の問題等もありますが。。

今、小塚が作っているスケート靴は、
靴を替えてもすぐに練習が出来る
を一番の売りにしたいんです。

従来のスケート靴は、新品に替えるとまず自分の足に合うように履き慣らす、『靴を育てる』という作業が発生します。
それが必要なく、新品を履いた瞬間から滑れる、という靴を目指しています。

実を言うと、最初に考え始めた時は、「とにかく長持ちするものを作りたい」「靴を替える回数を少なくしたい」と考えていました。
靴を「育てる」時間が勿体ない、もっと練習に集中したいと思っていたからです。
でも長持ちさせると硬い素材になってしまい、かなり難しいのかなと思い直しました。

なぜ今のスケーターたちが、靴が硬くて足が痛くなってマメができて…ということに悩まされているかというと、やっぱりどの靴も長く持たせようと思って作られているからかなと思うんです。
それでも、色んな先生方に聞くと「トップ選手なら3ヶ月持ってくれたら良い方」というのが現状なんですよね。
紀平選手も柔らかい靴をテープで補強して全日本選手権に出場していましたよね。
従来のスケート靴も足型を取って自分用にオーダーメイドで作ったりしているんですが、いつでも最初からぴったりというのは難しい。
結局、靴って消耗品。
普段履きの靴もそうですし、どんなスポーツでもある程度はそうですよね。

そこで、発想の転換。

それなら逆に、なるべく頻繁に替えてはどうか?
替えると言っても、靴全体のベース部分はそのままで、傷みやすい部分だけすぐに取り替えるようにできないか?
履いた瞬間から自分の足に合えば、交換が億劫にならないのではないか?

きっかけは、某有名靴メーカーの工場や研究所に見学に行かせて頂き、メジャーリーグでも活躍している某有名野球選手のスパイクの話を聞いた事でした。
その選手は、3試合に1回スパイクを替えているそうなんです。
「ええー!スケートじゃ考えられないなー!」とビックリしました。
僕たちのスパンで言うと、1週間に1回は替えてしまうということですよね。

なぜそれが出来るかというと、新品を履いた瞬間からトップパフォーマンスが出せる状態にしてあるそうなんです。
履いた時の感覚が一番いいものを決めて、それに近い状態のものを毎回ほぼ同じ品質で作ることができるんですね。
だから3試合に1回替えても全然問題ない。
究極はここだな、と。
同じことが出来ればスケートだって1試合に1回のペースでどんどん替えた方が良い状態を保てると思うんですよね。

やっぱり既成概念を壊さないと良いものは出来ないんです!

KOZUKA BLADESは従来品と同じ形だけど技術が詰まっているところが良いと思っていて、今まで『こうあるべき』と思われていたことを全部取り払って新しい技術を取り込みました。
スケート靴も同じようにできれば良いなと思っています。
まずは既存のスケート靴に近いものを作ってみて、それから細かい部分になるかなと思います。
インソールやミッドソール、足が当たる内側のスポンジ、足首の曲がる部分がバキッと折れることがあるので、その部分の素材を何にするのか、などなど…

今回のQUANT-Uのミッドソールがそれを解決してくれるひとつの方法になるかも、と期待しています。
3Dプリンターで成形するので毎回同じものがブレなくできるのがすごく良いですよね。
例えば4回転を跳ぶ人はカチカチに硬く、パワーの弱い選手ならもう少し柔らかめが良いかもしれないし、好みでも変えられそうです。
これはゴルフクラブのシャフトの考え方と一緒ですね。(一般的に、パワーのある人は硬め、そうでない人は柔らかめを選んだ方がよく跳びますよね)

まぁ、そうは言っても、まだ具体的には何も出来てないんですけど。。。笑
自分の頭の中の構想では、こんな感じです!

実は、前回お話しした試作品はまだ出来ていなくて、待ってる間に次のアイディアが浮かんじゃった状態です(笑)
これからが、何百通りものトライアンドエラーの繰り返しです。
でも新しいことをどんどん追求していきたいですし、開発の方にも相談してさらに良いものになるように進めていきます!

では、また!